ウエブスタートアップ企業のための10のルール
Web2.0カンファレンスにも登場したODEOのCEO、Evan Williamsによる 「ウエブスタートアップ企業のための10のルール」("Ten Rules for Web Startups")。すでにdel.icio.usで1500人以上が「bookmark」している。
以下は、b3 Annex版抄訳。
「ウエブスタートアップ企業のための10のルール」
by Evan Williams(日本語訳 B3Annex)
#1: Be Narrow
フォーカスせよ。
解決することで便利になりうる問題のうち、最も小さいものにフォーカスせよ。
多くのスタートアップは、最初から多くのことをやろうとしすぎて、うまくいかず、さらには他社との差別化にも失敗する。
#2: Be Different
ディファレントであれ。
アイディアはどこにでも転がっている。あなたが考えていることと同じことを考え、取り組んでいる人はおそらく大勢いる。その中には、(きっと)Googleも含まれている。対処すべし。十分に興味深い分野であれば、1社しか生き残れない、ということはない。また#1にもあるように、スペシャリストはいつもゼネラリストよりも強い。そして、あまりカッティングエッジなことをやらないこと。Googleだって、当初もう技術革新なんてありえないと思われた分野(検索!)で、正しいアプローチで問題に取り組んだのだ。さらに、一般的ではない名前をみつけて会社名にすること。blog関連の会社で、社名にblogなんて入らないように!
#3: Be Casual
カジュアルであれ。
「カジュアルウエブ」ともいうべき時代に突入しようとしている。これは、趣味のためのウエブやプロフェッショナルのためのウエブよりも、大きなジャンルだ。なぜなら、普通の人々には普通の生活があるから。こうした人々は、いまやブロードバンドで接続されている。もし、本当に大ヒットするようなサービスを開発したいなら、多くのコミットメントや主体性を失う事なく、人々の毎日の生活が助かる(カジュアルな)ものを考えること。たとえば、Flickrは、ただ、友達や家族と写真を共有するという、カジュアルな活動をしているだけだが、結果的に、数百万の人々に、パーソナルパブリッシングを可能にしている。もちろん、人々は、そんなパブリッシングなんて大層なことをしているとは考えていないが。カジュアルゲームは巨大なマーケットだし、Skypeは、会話のカジュアル化を実現している。
#4: Be Picky
選り好みをせよ。
いつでも通用するルールの一つ、「えり好み」をすること。納得がいかなかったら、サービスだろうが、従業員だろうが、投資家だろうが、宣伝の機会だろうが、すぐに受け入れることはない。しっかりと選び抜くこと。必要なときにはノーということ。
#5: Be User-Centric
ユーザー本位であれ。
ユーザーの体験がすべてである。いままでもそうだったが、まだまだ見過ごされている。また的確な投資もされていない。「ユーザー中心のデザイン」というものを知らなかったら研究せよ、詳しい人を雇うべし。
AJAXのいいところは、レスポンスがいいサイトになるからであって、セクシーだからではない。API公開の意味は、これによって、開発者がユーザーに対して付加価値を提示できるからであって、オタクを感心させるためではない。つねに、ユーザーにフォーカスすれば、すべてがうまくいく。
#6: Be Self-Centered
自分中心であれ。
偉大な製品というのは、自分の問題を解決するために開発する過程から誕生するものだ。あなたが世の中にあってほしいというものを作るべし。つねに自分の製品のユーザーであれ。あなたの製品のユーザーである人を雇うべし。(ただし、ユーザビリティについては、自分がユーザーであるから正しい、などと思い込まないこと)
#7: Be Greedy
貪欲であれ。
オプションをもっていることはつねにいいことである。これには、収入があることが望ましい。製品の中に、課金できるものを盛り込み、6か月後には、お金を徴収すべし。(PayPalを使うこと)そもそも、無料版がなど必要なのか、考えること。正しく課金ができれば、成長を加速することになる。また、会社に収入があることは、次回のファンディングや買収交渉の際も有利に働くはずだ。
#8: Be Tiny
小さくあれ。
いまでは、ウエブスタートアップ企業のいわば常識だが、きわめて安価でウエブでのサービス立ち上げが可能であり、一方でIPOが難しく、大手が小さなチームに革新的なことをやらせたがる、ということは、つまり、あなたのエグジットは、「買収」である可能性が高い、ということになる。そして、小規模な買収というのは、企業価値が最初から低く抑えられているときにのみ可能だ。企業価値を小さくするというのは、いまや、何かを立ち上げるのに、大きなお金がかからないからこそできることだ。あなたの会社のオーバーヘッドを少なくするために、Administaff, ServerBeach, あるいはElanceのような「ターンキー」サービスを使うこと。
#9: Be Agile
機敏であれ。
ドットコムバブルでつぶれた企業の多くは、最初の見込みに基づいて、すごい早さでバーンアウトするのではなく、もし、計画を調整することができたなら、、結果的には、成功していたかもしれない。
Bloggerを最終的に作ることになるPyra社(Googleに買収された)は、最初からブログソフトを作ろうとしたのではなく、プロジェクト管理アプリを作ろうとしていた。Flickrは、ゲームを作ろうしていたし、eBayは、オークションソフトを販売しようとしていた。最初の見込みというのは、ほとんどいつも間違っている。機敏に軌道修正すべし。
#10: Be Balanced
バランスを保て。
スタートアップは、ハイレベルのコミットメントがないことには始まらない。しかし、健康のためにはバランスも必要である。バランスを保ち、ストレスを少なくする方法として、David AllenのGTD法(Getting Things Done:日本語版書籍は「仕事を成し遂げる技術」)にまさるものはない。会得すべし。
#11 (bonus!): Be Wary
用心深くあれ。
上記をあまり字句通り受け取って過度に一般化しないこと。例外は何に対してもある。
以上、実際に読んでみると常識的なことばかりが並んでいる。しかし、日ごろ見過ごしがちな常識に真実があるのかもしれない。(しかし、最後に本の推薦とは、いささかがっかり)
一方でODEOの現在を考えると複雑な気分になる。
12月2日には、ODEOはリニューアルし、長らくベータだった録音機能が一般公開された。しかし、TechCrunchも書いていた("Odeo Disappoints")が、当初のアドバンスは消えたように思う。ODEOは最初から不運というか、タイミングが悪い。Podcastポータルな位置づけで公開したはいいが、数日後にiTunesがpodcast対応になってからは、あっという間にiTunesに席巻されてしまった。
bloggerの成功は、誰にでもwebが作れる「push button publishing」にあった。ODEOには、それの音声版ともいうべき、ODEO studioというpodcast録音/制作機能があるが、やはりまだ、誰もがpodcastできるというレベルにはなっていないのではないか。そもそも誰もがpodcastする必要があるかどうかは、ここでは触れないでおく。新デザインをもう少しトライしてみたい。
(ちょっと意地悪だが)ODEOは、このルールの#9に忠実に、軌道修正して何か別のものになるのだろうか。それとも、#11の例外なのか?



hochu vodki!i
Posted by: sveta | February 06, 2008 at 05:54 PM