グーグル、10の黄金律
Newsweek最新号 (Issues 2006)に、Eric Schmidt(グーグルCEO)とHal Varian(バークレー校教授兼グーグル社コンサルタント)による「グーグル、10の黄金律」("Google:Ten Golden Rule")が掲載されている。
必ずしも目新しくはないが、一応、日本語版をB3 Annex抄訳で。
・採用は委員会方式で
グーグルで採用面接を受ける人はすべて、少なくとも6人以上の管理者あるいは将来の同僚との面接を行う。すべての人々の意見が大切であり、このことで、採用のプロセスがより公平になり、採用基準の向上にもつながる。もちろん、それだけ時間がかかることになるが、その価値はあると思っている。すばらしい人材を雇い、その人を次なる採用のプロセスに集中的に組み込むと、さらにすばらしい人材を雇うことにつながる。
・必要なものはすべてを供給せよ
私たちは、標準的な(有給休暇、健康保険などの)付加給付を提供しているが、それに加えて、
ファーストクラスな食事施設、ジム、洗濯室、マッサージ室、床屋、洗車設備、クリーニング、通勤用バスなど、ハードワーカーなエンジニアなら、ほしいであろうものをほとんどすべて提供している。結局、プログラマーはプログラムを書きたいのであって、洗濯物を洗濯したいわけではないのだ。
・一カ所につめこめ
グーグルにおけるほとんどすべてのプロジェクトは、チームプロジェクトであり、チームというものは、コミュニケーションをとる必要がある。コミュニケーションを円滑にするもっともいい方法は、チームメンバーをお互いに数フィートの間隔においてしまうことだ。結果的に、グーグルのほぼすべての人々がオフィスを共有することになる。
・協力を容易にする環境を作り出せ
すべてのチームメンバーがお互いの数フィートという近くにいるため、プロジェクトを調整することは比較的容易である。物理的に近くにいることに加え、グーグル社員は、週に一度、先週1週間になにをしたかを説明したメモを自分のワークグループにメールで送ることになっている。これによって、簡単に、誰が何に取り組んでいるかがわかり、進捗管理や、ワークフローをシンクロさせることが容易になる。
・自社製品を自分でも使え
グーグル社員は、会社のツールを徹底的に使う。ウエブはもちろん、すべてのプロジェクトやタスクについての社内向けウエブを使う。すべては、インデックスされており、必要に応じてプロジェクト参加者が利用できるようになっている。
GMailの成功は、ひとつには、社内で何ヶ月もベータテストされていたことにある。社内でのメール使用は、極めてクリティカルな活動であり、GMailは結果的、もっとも厳しい要求を突きつけるグーグル社のナレッジワーカーを満足させるべく、チューンされていったのである。
・クリエイティビティを奨励せよ
グーグルのエンジニアは、自分の就業時間の20%を自分の好きなプロジェクトに費やすことができる。私たちの秘密というほどではない、もう一つの秘密兵器は、社内のアイディアメーリングリストである。この会社横断的なサジェッション箱には、駐車場の手順から、次のキラーアプリのアイディアまでさまざまなアイディアを投稿できる。
・コンセンサスに至るように努めよ
グーグルでは、唯一判断を下す者を英雄視するのではなく、「多数は少数より賢い」というスタンスに立つ。どんな判断を下そうとも、その前に、広い視点をつねに求める。
グーグルでは、マネージャの役割は、専制的に決断を下すのではなく、さまざまな視点を集めることにある。
・「悪魔」になることなかれ
このグーグルのスローガンについては、いろいろ書かれてきたが、私たちは、本気でこれを実践しようとしている。特に、マネージメント層ではそうである。どこの組織でもそうだが、人々は自分の物の見方というものに熱狂しがちである。しかし、ほかのよく知られたハイテク企業のマネージメントスタイルとは違って、グーグルでは、誰もイスを投げない。寛容とリスペクトが育まれる環境を作りあげたいのであって、イエスマンだらけにしたいわけではない。
・データが判断をもたらす
グーグルでは、ほとんどの判断というのは、量的分析に基づいている。私たちは、インターネット上の情報だけでなく、社内の情報をも管理するシステムを作り上げている。私たちは、多くのアナリストを抱えており、彼らが業績を解析し、トレンドを描くことで、会社を可能な限りアップトゥデートに保つことができる。
・効果的にコミュニケーションを取ること
毎週金曜日、全社員参加の会を設けている。ここでは、発表が行われたり、紹介や、質疑応答なども行われる。こうしたことにより、マネジメントサイドがナレッジワーカーがいま何を考えているかがわかり、逆もまたしかりである。
Google: Ten Golden Rules - Issues 2006 - MSNBC.com
以上が10の黄金律である。もちろん、グーグルだけがこの黄金律に従っている会社ではない。シリコンバレー界隈では、けっこう実践されているという。
前々回のエントリーの「ウエブスタートアップ企業のための10のルール」と比較してみると、より、人の管理、特にエンジニアという「ナレッジワーカー」をどう扱ったらいいかに腐心していることが浮き彫りになる。つまりは、「人」ということなのだ。ただし、日本的な意味での「人」というのとはいささか趣きが違うことは、もう明らかだ。GoogleはGoogleであるために、もっとも優秀な人々に、さらに優秀な人々を採用させている。こうすることで、今後もGoogleの成長が約束されるということである。
#個人的には、「イスを投げる」のくだりが面白かった。


初めまして。抄訳、勉強になりました。ありがとうございます。
ところで申し訳ありません。TBが3つも行ってしまいました。お騒がせしてすいません。
Posted by: 踊る新聞屋-。 | December 07, 2005 at 01:04 AM
コメントならびにTB、ありがとうございます。ご参考になれば幸いです。TBは1つに整理させていただきました。
Posted by: toshio | December 07, 2005 at 02:05 AM
"Don't be evil"が「悪魔になることなかれ」と訳されていますけど、元の意味からするとちょっと違和感があります。
devilだったら悪魔ですけれども、evilだと「悪い」という感じです(悪の帝国とか)。evilがan evilではないですから、ここのevilは形容詞ですね。意訳するなら、「悪い奴にはなるな」とか「道徳的に間違ったことはするな」とかいった感じでしょうか。
Posted by: pandakick | December 07, 2005 at 10:25 AM
"Don't be evil"が「悪魔になることなかれ」と訳されていますけど、元の意味からするとちょっと違和感があります。
devilだったら悪魔ですけれども、evilだと「悪い」という感じです(悪の帝国とか)。evilがan evilではないですから、ここのevilは形容詞ですね。意訳するなら、「悪い奴にはなるな」とか「道徳的に間違ったことはするな」とかいった感じでしょうか。
Posted by: pandakick | December 07, 2005 at 10:27 AM
ごめんなさい。2度送ってしまいました。
Posted by: pandakick | December 07, 2005 at 10:28 AM
evil=邪悪がいいんじゃないでしょうか。こういった文脈ではそのように訳されることが多いように思います。
Posted by: ssuguru | December 07, 2005 at 01:47 PM
邪悪という言葉は普段あまり使いませんよね。
ビー姉さんは、悪魔ではなく、「」つきで「悪魔」と書いていますから、それでいいんじゃないかなと思ったりしますが・・・
Posted by: calera | December 10, 2005 at 09:19 PM