世の中には、最初ピンとこなかったことが、あるふとしたきっかけでもの凄く面白く思えることがある。まるで幾何学の問題で、補助線を引いたらすらすらと解ける、ような感覚だ。先日、私が体験したこともそんな幾何学の問題かのようだった...。
先月末、世界のナンバー1レストランがイギリス/ロンドン郊外の店「Fat Duck」になったというニュースをイギリスの新聞ガーディアンのサイトで見つけた("Mix snail porridge, sardine sorbet and you have a Fat Duck")。世界一のレストランにイギリスの店が? というのが最初の反応だった。さらにその店が、「カタツムリのお粥」「ベーコンエッグのアイスクリーム」なんてものを出すと知ったときには、悪い冗談のようにさえ思った。
The Fat Duck Restaurant
Degustation Menu(お試しメニュー)
世界一のレストランはイギリスにあり、そこでは、「ベーコンエッグのアイスクリーム」を出す。
なんとも村上春樹的なフレーズもすっかり忘れ、連休中にわたしは、書店で雑誌「ブルータス」を手に取っていた。5月2日発売の「ブルータス」では、「21世紀料理教室!」が特集となっており、ほかの雑誌とともに買って帰った。家で、パラパラとめくると、液体窒素で食感を変えることに余念がないスペインのシェフや、「分子料理法」なるものを考えているフランスのマッドサイエンティストがいることを知った。
わたしは「ブルータス」をいったん脇に置き、いっしょに買ってきた、「ダースベーダー」が表紙のTime誌を注意深くめくっていた。というのも、映画を見る前に、「ネタバレ」するような写真などを見てはいけないからだ。なんとか、スターウォーズの特集を避け、私は、"Madman in the Kitchen"と題する記事を読んでいた。この記事では、世界一になった「Fat Duck」のシェフ=ヘストン•ブルメンタール氏が紹介され、彼こそmolecular gastronomy=分子料理法の第一人者として紹介されていたのだった。
つまり、いま世界でナンバーワンと言われているレストランは、料理のサイエンス「分子料理法」を取り入れた店なのである。ちなみに、世界ナンバー2のレストランは、スペインにある「El Bulli」という店で、ここも「分子料理法」の店である(!)(こちらはブルータスの特集に掲載されている)
世界のナンバー1、ナンバー2レストランが採用している「分子料理法」...。
こうなると、いろいろと調べたくなるのが人情である。「分子料理法」を取り入れた店はほかにはないのか、などなど。詳しくは以下のサイトをご参照。
A La Cuisine!: Molecular Gastronomy Resources
ちなみに、上記サイトで紹介されている「分子料理法」のレストランのリストと、ガーディアン紙に掲載されている世界のトップレストラン50を見比べると、かなり面白い。
料理は、知らぬ間に新しい領域に入っていた。

