Wall Street Journalなどの報道によると、AOLは、有料接続ビジネスから撤退し、広告ベースの無料コンテンツビジネスへと大きくビジネスモデルを転換することを検討しているという。
これにより、これまで収入として計上していた接続会員の月額料金の合計約20億ドルを放棄することになるが、それ以上に、広告モデルの可能性が高いとしており、さらに、CDROMやフロッピーなどの販促ツール代やサポートセンター費用などを削減できるとしている。
AOLはすでに会員にしか閲覧・利用できなかったコンテンツ・サービスを一般にもアクセスできるようにするなど、パソコン通信時代から続いている姿からの脱却を図ろうとしていたが、いまだに、"AOLは有料”という「負のイメージ」があった。そのため、AOLを訪れるのは、有料会員が大半だったという。
これほど、大きなビジネスモデルの転換を検討しているのに正直驚いたが、ネットの反応の中には、このままでは、いずれゆっくりとした死を迎えることになるよりは、荒治療でなんとかビジネスをあと20年は存続させた方が得策だという声もある。
AOLのこうした動きは、昨今のSNSの広がりを視野に入れると面白くなってくる。というのは、SNSは、ますます、かつてのパソコン通信のような様相を呈してきてると思うからだ。インターネットの中に、「ウォールド・ガーデン」(壁で囲まれた庭)というのが、SNSだとすると、AOLはなぜ、自身をそのままSNSに転換できないのだろうか、という疑問が浮かび上がる。減っているとはいえ、2000万人ものクレジットカード番号を押さえているのは、多くの企業が羨望のまなざしでみているのではないか。
無料化戦略の前に、SNSを買収して、それをAOLのビジネスとして位置づけるほうが、よほど現実的にも思えるが…。
AOLの有料会員は、激減傾向にあり、すでに、第1四半期だけで、85万人が退会し、第1四半期現在で、会員数は、1860万人となっている。(2002年の終わりには、会員総数、2650万人)
対して、第1四半期の広告収入は、3億9200万ドル。4倍しても、12億ドルにしかいまのところならないが、広告ビジネスの拡大を考えると、接続会員分の約20億を補うことは、近い将来可能かもしれない。
この無料化で、どのくらいの退会者がでるがわからないが、残った会員に対しては、接続サービスはすぐには終了しない見通しだ。
名実ともに、無料モデルとなるAOLは、Yahoo!、Google、MSNと「4つ巴」の戦いに突入することになるが、AOLメールのバージョンアップなど手をつけないといけない分野は多い。
このプランは、7月下旬のタイム・ワーナーの取締役会で審議され、8月上旬に正式に発表される見通しだという。
WSJ.com - AOL Mulls Giving Away Service
New York Times - AOL Said to Be Planning Free Ad-Based Web Access
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