先月も業界観測としてお伝えしたが、AOLは、これまでの有料ビジネスモデルから、無料広告モデルへと転換することを8月2日(現地時間)、正式に発表した。
これは、ブロードバンドユーザーなど接続をAOLに頼らないユーザーに対しては、ソフトやメールサービスを無料化するというもので、今後は広告収入を主な柱にしていくという。なお、ダイアルアップでAOLのアクセスポイントに接続する会員に対しては、これまで通り有料サービスを提供するという。
AOLの有料会員は、減少を続けており、一時は3000万人もいた会員だが、今年4月から6月までの間だけでも約100万人が退会し、現在の会員数は1770万人と言われている。今回の発表でさらに有料会員は減少すると予想されている。
AOLの有料会員費は、AOLの売り上げの約80%を占め、親会社タイムワーナーの収入の約20%とも言われている。Wall Street Journal紙の予測では、この3年間で有料会員費の売り上げは半減し、2009年には有料会員の数は、600万人にまでなってしまうだろう、としている。
一方で、AOLの広告収入は、アナリストによると、この第2四半期に40%増えており、これは、業界平均の30%増を上回っている、という。
こうした荒療治に出たのは、まだAOL.comがページビューのあるうちに、拡大するネット広告をサイトに呼び込み、ビジネスモデルを転換してしまいたいという思惑があったから、とされている。そうしなければ、ゆっくりと死に向かうしかない、とまで言われていた。
AOLでは、この2年の間に、AOLサービスをキャンセルした元会員に対しては、使っていた@aol.comのメールアドレスは保管してあるので、無料メールとして9月以降ぜひ使ってほしい、と呼びかけている。
こうしたビジネスモデルの転換を見据えてか、AOLでは新しい動画サイト「AOL Video」を8月4日に公開する予定で、新たなユーザーの掘り起こしに懸命だ。
WSJ.com - Time Warner Swings to a Profit, Announces Major Shift at AOL
New York Times - Time Warner’s Cable Revenue Grows
AOL Video - Coming Soon - About AOL
B3 Annex: AOL、接続ビジネスから撤退? ビジネスモデルの大転換を検討か (7月9日)
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