MTVを傘下に抱えるViacomがYouTubeに不許可動画10万本の削除を要請したのは2月の初旬。
その後、、大きな動きが出てきた。MTVは、KaZaaやSkypeの開発を行った、起業家Niklas Zennström氏とJanus Friis氏による動画サービス"Joost"(旧The Venice Project)に動画を提供すると、各紙が2月20日に伝えた。(Viacom Deal Will Allow Its TV Clips on Internet - New York Times)
25年の歴史を持つMTVは、新人にとっての登竜門で、MTVにビデオが流れるかどうかが生死を決めるといっても過言ではない時代が続いた。やがて、MTVでは音楽ビデオはなかなか見れない、と言われる時代を経て、いまや、新人歌手は、MySpaceやYouTubeを出発点とするようになり、MTVの価値は相対的に下がった。もはやMTVはポップカルチャーの中心ではなくなってしまったのだ。(いま思うと、リアリティショーの先駆けである、"The Real World"(1992年スタート)が分岐点だったのかもしれない)
そんな中で出てきた、YouTubeからの動画引き上げ、そしてJoostへの提供。これはつまり、ポップカルチャーの中心にいるのは、誰なのか、という戦いと言えるのかもしれない。はたしてMTVがそんなキャスティングボードをまだ握っているのか、どうか。
一方で、2月21日のWSJでは、Googleもテレビ局との協業に躓いている様子を伝えている。今年1月のCESでは、CBS会長兼CEOのLeslie Moonves氏の基調講演にGoogle CEOのEric Schmidt氏が登場して、新しい提携について発表するはずだったが、結局、基調講演までに合意に至ることができず、Schmidt氏の代わりに、YouTubeのChad Hurley氏が登場し、スーパーボウルのコンテストについて発表するに留まったという。
アメリカテレビ業界が一斉に反Google、反YouTubeに走っているようにも見えるが、実は大きな流れはもう決まっているのではないか。それはつまり、少なくとも、ポップカルチャーの中心からテレビは確実に退場しつつある、ということに違いない。
あとは、それを一時的に、押し留められるか、どうか、ということに過ぎないのかもしれない。
#でも、MTVってブランドは確実に老いてしまったように見える…。
Viacom Deal Will Allow Its TV Clips on Internet - New York Times
TV Industry Clouds Google's Video Vision - WSJ.com(要・有料登録)
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