CNNの有料動画サービス"CNN Pipeline"は、2005年12月に始まった、ネット専用の動画チャンネルで、4つまでの"Pipe"を選択できる当時としては、画期的なサービスである。利用者は、月額2.95ドル/年間24.95ドルを払うことで、4つのPipeを視聴できるとともに、過去動画の検索・視聴が統一的なインターフェイスで行うことができる。
CNNは、このほど、70のローカル局のウエブ運営を行う、Internet Broadcasting Systemとの提携を発表し、それに伴って、CNNの動画戦略を見直すと発表した。
この中で、CNNは、有料サービスだったPipelineの課金を6月30日をもって廃止し、7月1日より無料にするとしている。
CNNのお膝元のThe Atlanta Journal-Constitutionが伝えるところによると、"CNN Pipeline"という名称はなくなるが、複数の動画ストリームを視聴できる仕組みは無料になっても残るという。
CNNのサイト自体には、一日600万人がアクセスするが、そのうち"CNN Pipeline"の有料利用者の数はどのくらいなのかは発表されていない。9/11の5周年の際に、Pipelineを一日無料にしたが、この時は、120万人が見たと言われており、有料のユーザーはどんなに多くても、この120万を超えることはないだろう、というのが大方の見方である。
(7月1日から無料になるCNN Pipeline)
CNN.com全体では、月間9000万本もの無料動画を提供しているといわれており、一説には動画提供コストの低下によって、Pipelineを無料にできる目処がついたとも言われているが、詳細は不明である。
なお、Pipelineの無料化に伴い、年間料金を払っているユーザーには、一部払い戻しなどもあるという。
私自身は、サービス当初からの有料ユーザーだが、月額2.95ドルなら払ってもいいと思ってきた。もちろん、それはYouTube以前の話であり、現在のネット動画状況とは大きく異なっていたといったもいいのかもしれない。
いずれにせよ、世界的なテレビブランド=CNNの有料モデルからの撤退は、衝撃的でもあり、深い教訓が含まれているように思える。
CNN's online Pipeline will stream for free - The Atlanta Journal-Constitution
CNN to Deliver More Local News On Its Web Site - WSJ.com(要・有料登録)
サービス立ち上げ時(2005/12)のリリース : CNN.com Launches CNN Pipeline Broadband Video News Service
B3 Annex: <CBSの教訓> ユーザーは自社サイトにはやって来ない (2007年5月15日)
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