Sony CEOのストリンガー氏は、故郷イギリスのメディアでは饒舌なのは、今に始まったわけではないが、先週14日(現地時間)にFinancial Timesに掲載されたインタビューでも大いに語っている。
このインタビューで、ストリンガー氏は、クリスマスシーズンまでにPS3を値下げすることを示唆しているが、あまり伝えられていないところにも興味深いところがある。
インタビューの全文はテキスト(映画・音楽・PS編)(ニューメディア編)のほか、動画でも見ることができる。
(取材しているのは、英Financial Timesのアメリカ支局記者)
以下は、日本人重役の報酬についてのくだり。
FT: Are your executives underpaid?
HS: Oh, I think Japanese executives, by American standards, are astonishingly underpaid. But most executives in Japan don’t work for money, pure and simple. They’re motivated by something else. I thought, when I first came into this job, that I could motivate Sony companies and empower them by giving financial rewards for performance, and it has zero impact.
FT: None at all?
HS: No, it has no impact whatsoever.
FT: So have you stopped doing it?
HS: Yes, pretty much. You can give a prize at the end of the year with a $2,000 cheque and get a smile you wouldn’t believe, but it isn’t the same culture in terms of reward. And when they see what CEOs make in this country and they see the rewards of Silicon Valley and the hedge funds and so forth, they basically shake their heads.
(from FT.com - Howard Stringer on new media)
記者:あなたの会社の重役は十分に支払われていない?
HS:アメリカ的基準から見れば、一般的に日本の重役は驚くほど薄給だと思う。ただ、多くの日本の重役というのは、本当にお金のためには働いていない。彼らのモチベーションは別のところにある。最初にソニーCEOになったころ、業績に対して金銭的報酬を与えることでやる気にさせることができると思ったが、効果はまったくなかった。
記者:まったく?
HS:効果といえるものはまったくなかった。
記者:では、もう金銭的報酬を与えるのをやめた?
HS:ええ、ほとんどやめた。年の終わりに、2000ドルの小切手を与えて、信じられないぐらいの笑顔を見ることができるんだ。日本というのは、報酬ということについては、別のカルチャーなのだと思う。彼らが、アメリカのCEOの収入やシリコンバレー(の企業)やヘッジファンドなどが得る報酬金額を見ると、彼らは、(理解できなくて)頭を振るんだ。
ストリンガー氏について思うのは、彼がしなければいけないのは、イギリスメディアで日本人重役について揶揄することではなくて、日本人の働くモチベーションについて理解するためにあらゆることをし、実際にモチベーションを持たせることだと思う。そうでなければ、ソニーで働いている人は、それこそ、やる気を失うだろう。
こんな戯言を日本以外のメディアで語ることを続けるなら、今年の終わりに2000ドルの小切手を渡しても、「信じられないぐらいの笑顔」はもう見られないと肝に銘じるべきだ。
FT.com - Howard Stringer on movies, music and PlayStation
FT.com - Howard Stringer on new media
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