お客様は神様です。
これはかつて日本でよく聞かれたフレーズだ。いまなら、カスタマーサティスファクションの最大化などと言われるのだろう。ユーザーに満足してもらわないとビジネスは立ち行かない。そのためには、さまざまな苦情にも対応する。
これが一般的な企業のあり方だろう。
そんなご時世にあって、アメリカの電話会社Sprint/Nextelは、お客様相談窓口に頻繁に電話してくる顧客1200人の
サービスを打ち切ると発表した。ハイ・メンテナンスな顧客を抱えていることは、商売としてペイしないと判断したのだ。
ロイター通信の報道によると、1000人から1200人のこれらの顧客は、1か月に合計4万回もカスタマーサービスに電話してきたという。
(一人平均にすると、約40回/月になる)
これら1200人の顧客がお客様相談窓口に電話してくる比率は、平均的な顧客に対して、40〜50倍にもなるという。
この人たちに何をしたところで、満足度は上がらないと判断したという。
このサイトには、実際に送付されたサービス停止予告レターが掲載されており、その文中には、
“the numbers of your inquires you have made during this time has led us to determine that we are unable to meet your current wireless needs”.
Sprint/Nextel「この期間に行われた問い合わせの数の多さから、私たちは、あなたがいま求めている携帯サービスのニーズにお応えできないと判断しました」
Sprint/Nextel
とある。
1か月前通告を受けたこれら1200人の顧客は、次のキャリアを見つけないといけない。なお、サービス停止の違約金と最終月の料金は支払わないでいいという。
それにしても、アメリカンな判断だといわざるをえないが、顧客と企業の関係性という視点から見ると、新しい次元に突入しているともいえよう。
携帯電話会社に対しては、誰でも、多かれ少なかれ、何らかの不満を持っているものなのではないか、とも思う。
そのニーズを掘り起こすことがまずは第一義的に求められることは言うまでもない。
そのことを踏まえた上であえて言えば、度を過ぎた要求に対して企業としても看過できない事態になっていることなのだろう。
スーパークレーマーに対応する企業のコストは、結局、ほかの一般顧客が間接的に負担しているしている。
一般的な顧客にとっても、スーパークレーマーは迷惑な存在だといえるのかもしれない。
その上で、はたして、今回のSprint/Nextelの判断は、正しかったのだろうか?
今後、訴訟に発展したり、ブログなどで「場外乱闘」になったりしないか、にも注目したい。
Sprint ditches customers who complain too much - Reuters
Sprint may cancel your service if you call customer service to often - Gadgetell
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