Cloud Computingといえば、「あちら側」にあるコンピュータパワーを利用してさまざまな処理を行うこと。
一番分かりやすい具体例としては、グーグルの検索が挙げられるだろう。検索では、サーバはどこにあるかわからないが、インターネットの「雲」のどこかで演算され、検索結果を引き出して、目の前のウェブページに結果として表示される。
概念としてクラウド・コンピューティングを少し理解しても、現実に、グーグルがどのようにCloud Computingを推進しているのか、よく分からないというのが正直なところではないだろうか。
(一説には、グーグルの「雲」は100万台以上の安価なサーバで構成されているという)
Business Weekのカバーストーリー"Google and the Wisdom of Clouds"は今のグーグルで起こっていることを、垣間見せてくれる好企画である。
(Business Week誌 "Google's Next Big Dream" 表紙はChristophe Bisciglia氏 27歳)
以下は、簡単な記事の概要である。
- Googleに勤める27歳のChristophe Bisciglia氏が、Googleの面接官として、学生に「いまよりも1000倍のデータがあったらどうする?」という質問を投げかけたところ、学生はなかなか答えられない、ということがわかった。実は、それは、グーグルのようなCloud Computingの環境に学生が馴染んでいないからではないか。
- そこで、Christophe Bisciglia氏は、彼の"20%"を利用して、母校のワシントン大学に、"Google 101"という講座を作り、実際に膨大なコンピュータパワーを利用できる環境を提供することで、グーグラーのように考える訓練を学生たちにしてもらおうと思った。
- ただし、実際に、Googleのネットワークに研究目的で外部の学生がアクセスするわけにはいかないため、グーグルで使用しているMapReduceという分散処理環境のオープンソース版であるHadoopを利用することに。また、必要なコンピュータは、なんとか社内の経理を通ってしまったので、40台のマシンをワシントン大学にセットすることができた。
- 講座が始まると、StanfordやMITなど多数の大学から、同様の講座を開いてくれないか、と打診されていたが、なかなか、それだけの大学に、マシンを納入することはGoogleとしては難しかった。
- 同じころ、Cloud Computingに興味のあるIBMは、Googleに何が共同でプロジェクトができないか、CEOのEric Schmidtに打診しておりちょうど、進行中だったワシントン大学での"Google 101"の話をしたところ、話がとんとん拍子にまとまり、Christophe Bisciglia氏とともに、大学が利用できる「クラウド」作りを行うことになった。これが今年10月に発表されたGoogle-IBMのCloud Computing構想である。
今後のコンピュータサイエンスは、間違いなく、いかに「クラウド」を利用して膨大なデータを処理するかがテーマになる中、
こうした構想により、大学在学時から、「クラウド」に触れる学生が増え、グーグルのように考えることのできる学生が増加するということになる。
記事の中で、Yahoo!の研究員の言葉が面白かった。
"In a sense," says Yahoo Research Chief Prabhakar Raghavan, "there are only five computers on earth." He lists Google, Yahoo, Microsoft, IBM, and Amazon.
「地球には、ある意味、5つのコンピュータしかない」。Yahoo ResearchのチーフPrabhakar Raghavan氏はそう言うと、Google、Yahoo、Microsoft、IBMそしてAmazonを挙げた。
一方で、同じBusiness Weekの別の記事"The Two Flavors of Google"では、Google-IBMのクラウド・コンピューティングで利用している分散処理ソフト"Hadoop"がYahooの出資を受けていることの危険性を指摘している。Hadoopが業界のデファクトになると、何でもHadoopで行うという傾向になるのではないか。
(Hadoopの分散処理イメージ Hadoopのサイトより)
NY Timesの技術チームは、AmazonクラウドでHadoopを利用して、1851年までさかのぼるNY Timesの1100万本もの記事をデジタル化し、検索可能にしたという。
通常なら、何か月もかかるこのプロセスをたった1日で成し遂げたという。
(NY TimesのOpenブログによると、TIFFをPDFに変換する作業をAmazonのEC2とS3を利用したのだという。100のEC2インスタンスを走らせたらしい)
いずれにせよ、私たちが考えているよりもずっと早く、クラウドコンピューティングのさまざまな展開が進んでいるのだ。
何かを人海戦術で解決する、なんてことよりも、「雲」を効果的に使うことを自然と考える。これからはそんな感覚が重要になってきている時代なのである。
#それにしても27歳が次世代のコンピューティングの行方を指揮しているっていうのもGoogleの凄さだと改めて痛感。
Google and the Wisdom of Clouds - Business Week
Online Extra: The Two Flavors of Google -Business Week
Self-service, Prorated Super Computing Fun! - Open - Code - New York Times Blog
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Posted by: zcpqxiwkt | December 16, 2011 at 05:11 PM