37 signalsのパートナーであり、Ruby On Railsの開発で有名なDavid Heinemeier Hansson氏(通称DHH)による講演"The Secret to Making Money Online"が面白い。
これは、4月19日にスタンフォード大学で開催された"Startup School 2008"なるイベントでの講演で、起業家を目指す学生たちへのメッセージとなっている。
(講演するDavid Heinemeier Hansson氏 Omnisioより)
DHHの主張は、シンプルかつ有効である。(その割にはあまり語られていない)
起業家は、Facebook、Myspace、YouTubeのようなメガヒットベンチャーになろうという妄想を捨て、「いい製品を作り、価格を設定し、利益を上げる」という持続可能なビジネスを行うことに集中するべし。
以下は、DHHの講演の要旨。
- 多くの起業家/予備軍は、自分でお金を稼ぐのではなく、どこかに会社を買収されたり、IPOをしたりすることを考えすぎている。
- 「いい製品を作り、価格を設定し、利益を上げる」、これこそシンプルな持続可能なビジネスの基本である。(もちろん、価格をつけたとして、簡単に利益があがるわけではないが…)
- みんな、Facebook、Myspace、YouTubeのようなメガヒットベンチャーを作り出そうと思い込みすぎている
- そんな確率は、低いので、もっと、地に足がついた目標を掲げるべし。
- たとえば、100万ドルのビジネスを考える。(ベンチャーキャピタルは10億ドル規模のビジネスを考える)
- 2000人の顧客が月40ドルを12か月払えば、100万ドルになる。
- 少ない顧客を対象にすることで、次のトレンドを掴まえるといったことを考えずに、ほかの人よりも少しだけいいものを作ることに集中すればいい。
- イタリア料理店を開くとして、世界最高級のイタリア料理を作ることはなく、町でなかなかいいイタリア料理を目指せばいいのと同じだ。
- では、どうやって顧客を集めるか。(2000人に月々払ってもらうことは、それでもかなり難しい)
- "backpack"開発の経験から、コンシューマを対象にして、月々払ってもらうのは、かなり難しい。(事実、リリースから2年経過していたが2か月前に、ビジネス向けに方向転換した。結果、たった2か月で収入はこの2年よりも倍増した)
- ビジネス向けといっても、大企業=Fortune500ならぬFortune500万ともいうべき、小さいな事業をターゲットにすることで、持続可能なビジネスができる。
- だからといって、家族経営の小さなビジネスというわけではない。大企業と、家族経営の小さなビジネスの間に、さまざまなビジネスがあり、何かを犠牲にすることなく人生を楽しむことができる。
- 自分が楽しみながらできる仕事で、100万ドル稼げるとしたら、それを見捨てるのはばかげている。
- 無理して会社を大きくし、売り抜けてから人生を楽しむんだ、という人がいるが、その人は本当に人生を楽しめるのだろうか。
- 一般的なビジネスは、映画ビジネスではない。つまり、メガヒットは必須ではない。
- "バイラルマーケティング"や"ネットワーク効果"については、この際、忘れたほうがいい。
- "Basecamp"は、ほかの仕事もある3人で開発。兼業だったことで、集中できた。実際、私(DHH)は週に10時間しか"Basecamp"の開発に充てていない。
- 少ない時間しかないことで、集中することができる。(余計な時間があっても、必要ない機能などを付け加えてしまうのがおちだ)
- 最後に、気楽にやること。この先、やることが減ることはないのだから。
David Heinemeier Hansson氏による講演"The Secret to Making Money Online"は、以下で見られる。
(スライドとシンクロしている。吹き出しコメントは画面にマウスオーバーして現れるスイッチでoffにできる)
David Heinemeier Hansson at Startup School 08 | Omnisio(ビデオ)
Justin.tv - DHH Talk - Startup School 2008 - HackerTV - Live Streaming Video(ビデオ)
David Heinemeier Hansson's Speech about Making Money at Startup School 2008, by Vlad(講演録)
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