Nikonが先週突然発表したMedia Port UPは、いわゆるヘッドマウントディスプレイで、形としてはヘッドフォンに
マイクならぬ映像を見るためのアームがついている。単眼のモバイル・ヘッドマウントディスプレイである。
こうしたヘッドマウントディスプレイは、10年前ぐらいに、ソニーの「グラストロン」やオリンパスの「Eye-Trek」が相次いで発売されたが、大きな市場を獲得できずに、姿を消していた。
さて、Nikon UPはどうなのか?
表参道ヒルズの「UPLAB 表参道」コーナーで展示されていると聞き、早速みてきた。
(UPLAB表参道の様子)
UPを装着させてもらうと、右目の少し先に、スクリーンが見える。50インチというよりは20インチぐらいのイメージか。(報道では1メートル先に17インチの映像が見えるイメージとある)
左のヘッドフォンで、画面上に現れたカーソルを動かし、動画を選択する。映像が流れはじめる。なんというか、密閉タイプのヘッドフォンなので音はクリアだが、映像は、アンビエントというか、うたかたに浮かんでいる感じ。
見づらいわけではないが、これまでのヘッドマウントディスプレイとはいささか違って、景色に溶け込んでいるような錯覚。もちろん、左目は、普通の風景を見ているので、そう思うのかもしれない。
(UPを装着したところ。片目で映像を見る)
モーションセンサー版も試せてもらったが、こちらは、決定キーを左のヘッドフォンのボタンで操作することなく、カーソルを下に動かすには、軽くうなずく感じ。決定は、右に首を振る。素早く動いたほうが感度がいいようだ。
見られる映像は、カタログによるMPEG1,MPEG2,WMV。あらかじめUPに転送する必要がある。
またHTMLも解釈するので、ウェブページも見られるが、説明員によると、リンクはクリックできないという。また、見るページはあらかじめ、PCの専用ソフトでブックマークしておき、それを転送する必要があるという。
ニコンは、このUP用に、専用動画チャンネルを開設し、無線LANでの配信も行うという。
短い時間だったが、使用感としては悪くない。ただ、利用シーンが正直あまり思い浮かばない。通勤中にこういうヘッドマウントディスプレイをするにはかなり勇気がいりそうだし、現実的ではない。一方で家庭の大型スクリーンの代替として使うには、1メートル先の17インチでは、物足りない。
むしろ、美術館などのガイドなどとしてはかなり面白いと思う。実際の絵の前に立って、その絵の技法などについての、短いビデオを見るといった使い方だ。
いずれにせよ、こういうチャレンジングな製品が日本企業から出てくることは、評価したい。
Nikon :メディア ポート「UP300x」、「UP300」の発売について
※UPLAB 表参道は、表参道ヒルズ地下3Fで12月7日までオープン。営業時間:11:00~21:00(平日) 11:00~20:00(土日祝)
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