このブログもほとんど更新しなくなって久しいが、もしこのブログを楽しみにしている人がいたとしたら、この場を借りて、お詫び申し上げたい。
このブログは2003年の夏にスタートしたので、はじめて実に8年になるのだが、去年ぐらいから更新回数が激減し、2010年には9回、今年2011年は、これまでにたった2回しか更新していない。もはや、ブログの体をなしていない。ただ、これは自分がfacebookにオンラインの活動の中心を移してしまったことにもよる。
ブログとfacebookでは役割が違うこともあり、文章の長さも極端に短くなってくる。気に入った記事などがあったとしても、リンクと一言ぐらいしか書かない。これは便利なようであって、弊害もある。ブログに書くときは、紹介する記事を読み込んで、要約を書いていたが、これが結局、紹介する記事が、一回自分の身体を通る感じがあり、記憶に残りやすいのだ。
さて、前置きはこのぐらいにして、2011年である。今年はいろいろなことがあって、正直、振り返るのも辛いが、将来に振り返るときに、手がかりがないのもよくないので、要点を絞って振り返りたい。以下は順不同である。
○「アラブの春」
チュニジアから始まった中東民主化運動は、瞬く間に広がり、エジプトやリビアなどの国に広がった。特に、1月から2月にかけてのエジプトでの運動については、私自身もかなり注目し、連日、アルジャジーラやBBCのサイトで、タハリール広場からの中継映像を見続けていた。また、早い段階から英・エコノミスト誌が、中東の30歳以下の人口の急増と、教育が行き届いたことなどから、「革命指数」ともいうべき数字をあげていたのが印象深い。さらに、「アラブの春」だけでないが、Time誌がPerson of the Yearとして「Protester」を選んだのは慧眼だったと思う。いま、世界は大きな転換期に来ているのだということを、再認識させられた。
TIME's Person of the Year 2011
○東日本大震災
この地震とそれに続く津波、原発事故については、今も私たちに大きな影を落としている。地震の発生以降、私自身も大きく巻き込まれていった。メディアについて言えば、テレビ放送とネットメディアが融合したことは、改めて書き記しておきたい。そして、こうした協力関係は、突然起きたのではなく、これまでの人間関係と、緊急時でのそれぞれの個人の判断で実現したのだということは、記憶しておきたい。
原発事故とその後の政府、東京電力の対応については、この限られた場所では書ききれない。夏の節電騒動だけを取っても、本当にこんなことが必要なのか、と首をかしげざるをえなかった。メディアから流れる節電の声に、ある種の同調圧力を感じことも事実である。結果、もはや自分で判断して生きていかないととんでもないことになると多くの人が思ったのではないか。それぞれの判断のために必要な情報を、メディアは隠す事なく出していくことでしか信頼は得られない、ということを肝に銘じるべきである。
○スティーブ・ジョブズ死去
アップルのCEOを辞任したときには、このブログでも速報として伝えたが、死去したことにはきょうまで触れていない。そのことはB3 Annexとして大変恥ずかしい思いでいっぱいである。気持ちの整理ができなかったというのが正直なところである。公式自伝を読んだあとも、実は、なんだかすっきりしていない。きっと、これからも、Jobsの影響を受けた起業家が新しい製品やサービスを世に問い続けるのだろう。そして、自分も、なんとかしがみついてでも、そういうものを出していきたいと思っている。その意味では、この出来事については、簡単にまとめないで、この「もやもや感」をもって、糧にするということなのかな、と今では思っている。結局、いくら雑誌の追悼特集を読んでも、公式自伝を読んでも、ジョブズ番組を見ても、私のジョブズ像というのは、自分だけのものだから、自分で決着をつけるしかないのだ。
○facebookの台頭
2011年は映画「ソーシャルネットワーク」が日本で公開された年である。そして、その前後から日本でもfacebookが勢いを増している。このブログの更新が、これまでたった2回になった遠因でもある。私も9月にサンフランシスコで開催された"f8"に参加したほどである。ただ、一方で、ソーシャルメディアによって、友達が推奨するニュースや記事を読み続けること。それは、心地よく、便利ではあるが、あらかじめ、どういうニュース/記事であるかを、おぼろげながら知っている世界ではないのか。圧倒的な他者に出会うことがない世界。それは、きっと、他者らしきものが登場した際には、(その世界に慣れていると)すぐに拒否反応が出てしまう世界ではないか。このようにして、他者に対する「不寛容な世界」は、もはや始まっているのかもしれない。こんなことを懸念しているEli Pariserという人のTEDでのトークを紹介しておきたい。
Eli Pariser: Beware online "filter bubbles"
久しぶりの更新ですね。B3さんが冒頭で述べられているように、その事実を読み込んでまとめられている、このスタイルが結構好きなんですが、更新がなくなってしまったのは残念です...
良いお年をお迎えください。
Posted by: cota60 | December 30, 2011 at 09:26 AM