B3 Annex

政権交代を実現した選挙から1週間

新宿駅でみつけたポスターにちょっとニヤリ。

それにしても、投票権を得てからずっと切望していたことが、ようやく実現したのだけど。この１週間なんとも、オバマ大統領誕生のときのような「喝采！」という感覚からは程遠い。それが時代の気分であり、ニッポンのリアルなのだろう。

いい気分になれる動画２種類 トラファルガー広場の大カラオケ大会とHappy Clouds

少しだけいい気分にさせてくれる動画を2種類。

最初は、ロンドンのトラファルガー広場で起こった大カラオケ大会。
マイクが配られ、巨大スクリーンには、"Hey Jude"の歌詞が現れ、広場に集まった人々が、それぞれの表情で、ビートルズの"Hey Jude"を歌う。その様子に、なんとも癒される。

もちろん、これはT-Mobileのmobシリーズのコマーシャルのシーン。キャッチフレーズは、Life's for sharing.
ロンドンのLiverpool Street駅で見知らぬ人々が踊りだすというコマーシャルのシリーズ第2弾ではあるが、歌うというシーンを通して、ケータイで写真を撮ることの楽しさをうまく伝えている。

2つ目は、 これも、ロンドンのアーティストの"Happy Clouds"という作品。
黒い装置から作り出されるのは、スマイルマーク。スマイルマークは、まるでシャボン玉のようにミラノの街をゆっくりと空へ向かっていく。このスマイルマーク、ヘリウムと石鹸で作られた泡でできているという。

こちらは同じ作品がロンドンの街を漂うバージョン。

作者のStuart Semple氏は、未曾有の経済危機によって落ち込んだ人々の気持ちが少しでも上向きになればと思って作ったという。

 

( Happy Clouds by Stuart Semple from Wallpaper* Magazine Video )

YouTube - [HD] Sing-along

YouTube - The T-Mobile Dance

Happy Clouds By Stuart Semple For Moncler | Video | Wallpaper* Magazine

YouTube - Happy Clouds by Stuart Semple

LED羊は、どんな夢を見るのか？

牧場にいる羊たちを使ったアートである。

羊たちは、LEDで作られたコートを着させられ、それぞれがドットとなって、丘の上に配置される。
LED羊たちは、調教された羊飼いの指示のもと、あるときは、ビデオゲームのPONGであり、あるときは、モナリザの絵になる。

クライマックスは、LEDのオンオフによって、丘の上に花火の模様が描かれる。

地下鉄の駅をミュージアムに MoMAの試み

これもニューヨークならでは、という話。
ニューヨーク近代美術館（MoMA）は、ブルックリンにある地下鉄の駅"Atlantic/Pacific"の駅をミュージアムに変身させた。これは、"Atlantic/Pacific"の駅にある広告スペースにMoMAの所蔵品のアートに置き換えてしまったというもの。ダリやウォーホールやゴッホといった作品（のコピー）が駅構内に50以上も展示している。

（ゴッホ「アヴィニョンの娘たち」@Atlantic/Pacific Station Photo by PSFK.com)

ふだん足早に通りすぎる駅で、しばし足を止め、本物を見たくなったらMoMAへ、という壮大な広告ではあるが、
ちょっとした異化効果はある。アートがもっと身近になる、かもしれない。

ウェブでは、解説の音声もダウンロードでき、また、展示の様子を写真に撮ってFlickrにアップすることを勧めている。

(MoMA Atlantic/Pacific)

会期は2月10日から3月15日まで。

MoMA Atlantic Pacific

MoMA Atlantic Pacific: Art Replaces Ads in Brooklyn Subway Station - PSFK.com

Courtesy of MoMA, Riding the Subway and Rubbing Shoulders With Picasso - NYTimes.com

NY1 - MoMA Takes Art Underground (Video)

ピアノカクテル、登場！

ピアノの鍵盤を弾くと、その音にあわせて、カクテルが作られる。

そう、ボリス・ヴィアンが「うたかたの日々」で描いた「ピアノカクテル」がアート作品として登場した。

制作したのは、NYUの学生のFlorica VladとOscar G. Torresの2人。

写真を見るとワイヤーの数が半端ではないが、アップライトピアノに刺さったさまざまなボトルがなんともおかしい。

(Pianocktail photo by Florica Vlad)

開発者のFloricaさんのブログには、コンセプト絵も掲載されている。

共同開発者のOscarさんによる動画もある。

The Pianocktail by Florica and Oscar from Oscar G. Torres on Vimeo.

リアルな「ピアノカクテル」の操作は次のように行うという。

１）ピアノの前のいすに座る（カクテルを作る準備）
２）演奏する（カクテルをミックスする）
３）席をたつ（演奏＝ミックスは終了）
４）チューブから出てきたカクテルを飲む

ここは小粋に、デューク・エリントンを弾いて出来上がったカクテルを飲んでみたいものだ。

more from the nime show - Florica's Blog

Pianocktail  Florica's Blog

The Pianocktail by Florica and Oscar on Vimeo

今夏、NYCに4つの滝が出現！ アートプロジェクト"The New York City Waterfalls"

夏になるとニューヨークでは、暑さを紛らわすために、変わったことを思いつくという話を昨夏にいくつか掲載したが、これは、そのレベルを大きく超えた壮大な話だ。

なんと、この夏、ニューヨークに4つの人工的な滝を出現させようというのだ。

アートプロジェクト"The New York City Waterfalls"は、デンマーク出身でベルリン在住のアーティスト、オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson）氏のプロジェクトで、マンハッタン島の東のイーストリバーに4つの人工的な滝を作り、6月下旬から10月まで公開するというもの。

オラファー・エリアソン(Olafur Eliasson）氏は、ロンドンのテートモダン美術館に「太陽」を出現させたアーティストとして知られ、今度は、NYCに滝を出現させる。

以下の写真は、アートプロジェクトのサイトからのもので、滝の絵はイメージである。

（NYC滝：ブルックリンのPier4と5の間）

（NYC滝：ブルックリンブリッジ下）

（NYC滝：ガバナー島）

（NYC滝：マンハッタン島Pier35）

4つの滝のうち、1つはブルックリンブリッジのアンカレッジに設置される。滝の高さは、27メートルから一番高いもので36メートルに達し、高さとしては「自由の女神」に匹敵するという。

（地図：The New York City Waterfallsが出現する場所）

期間中は、水上タクシーやサークルラインダウンタウンフェリーで滝めぐりの遊覧コースも登場する予定だという。滝の設置の経済効果については、一説には、5500万ドルの経済効果があるという。夜にはLEDによるライトアップもある。

暑いニューヨークの夏に、人工的な滝を出現させるなんて、アートを愛するニューヨークならではの話だ。

なによりも、美術館という閉じられた空間ではなく、都市という開かれた空間に、アートを出現させることで、都市や環境について、ふと通りを歩いているときに想起できるというのは、アートのアートたる所以に思える。

ぜひ、この夏には、滝を見にニューヨークに行ってみたいものである。

なお、MoMAでは、6月末までOlafur Eliasson氏の回顧展を開催している。

The New York City Waterfalls

nywatertaxi Gateway to America 1 hour harbor tour - New York Water Taxi The New York City Waterfalls

Circle Line Downtown "The New York City Waterfalls" by Olafur Eliasson

MoMA.org | Exhibitions | 2008 | Take your time: Olafur Eliasson

Olafur Eliasson: from sun and rainbows to waterfalls - Times Online

B3 Annex: NYで一番クールなベンチ？！ "The Bench"（2007年8月22日）

B3 Annex: Jack Spadeの即興ファッションショー＠NYCブライアンパーク（2007年9月23日）

スローテック？ "One Day Poem Pavilion" 太陽光が映し出す詩的な世界

"スローフード"、"スローライフ"という言い方があるなら、さしずめこれは「スローテック」ということになるのだろうか。

"One Day Poem Pavilion"は、太陽の光によって、文字が浮かび上がるアート作品である。

バックミンスター・フラーの住宅を彷彿とさせる、奇妙なオブジェクトは、無数の穴があるボードで、光がこの穴を通ることで、地面に、文字が浮かび上がる仕掛けになっている。

朝、太陽が昇り、お昼になり、そして、夕方になって日が沈む。この自然のサイクルにあわせて、ゆっくりと、詩が進んでいく。

（"One Day Poem Pavilion"）

一日をかけて、詩を一片読むというのは、現代においては、あまりに贅沢な体験かもしれない。

（ぜひ、ビデオを見てほしい）

作者の、Jiyeon Songさんは、Art Center College of Designの卒業制作として、このプロジェクトを立ち上げた。三次元フォントの研究などをさまざまに行い、現在の構成にたどり着いたという。

しかも、太陽の位置が季節によって違うことを利用して、夏と冬では、別の詩が映し出されるようになっているという。すごい。

参考文献に、谷崎の「陰影礼賛」が掲げられているのが興味深い。

（作者のサイトがつながりにくいので、以下、念のためにYouTubeにあがっている動画を掲載）

Experiential Typography | One Day Poem Pavilion | Jiyeon Song

Experiential Typography | One Day Poem Pavilion | Jiyeon Song（ビデオ）

"The Wrong Store"とは何か？

アートは、いつも私たちの常識を揺さぶってくれるが、これもなかなか。

"The Wrong Store"は、ニューヨーク・チェルシー地区に5月中旬にできた「アート専門店」。7月9日までの２か月だけの期間限定ショップだという。このショップでは、ジェニー・ホルツァー、ヨゼフ・ボイス、マーク・ニューソンらのレアものを集めている。まあ、このぐらいなら、東京にもありそう。

ただ1点、フツーのお店と違っていること。それは、「いつも閉まっている」という点。

そう、この店は、"The Wrong Store"というぐらいで「間違った」店であり、看板には、"Come in! We're CLOSED"と掲げてあるのだ。なので、店に陳列してあるアートは、買うことはできず、店の外から眺めることしかできない。つまり、ショップの存在自体が、アートになっている。
実際、The Wrong Storeは、Tobias WongとGregory Krumの2人によってキュレートされたアートである。

（"The Wrong Store"　一見フツーのショップに見える　NY Times Videoより）

（"The Wrong Store"は、いつも閉まっている！　NY Times Videoより）

もちろん、「オープニング・パーティー」でも店は閉まっており（！）、ゲストは次々と、タクシーで乗りつけ、路上でパーティーを行ったという。

ベーシックな概念をちょっとひねることで、新しいコンセプトになるという一例。

＃それにしても、New Yorkらしい話である。

THE WRONG STORE  259 TENTH AVENUE NYC 10001

The Wrong Stuff - New York Magazine

MoCo Loco: The Wrong Store

Pop-Up Art - New York Times Video

ブライアン・イーノのビジュアルインスタレーション

ブライアン・イーノといえば、環境音楽の嚆矢とも言うべき「Music For Airports」があまりに有名だが、そのブライアン・イーノが初めてコンピュータソフト作品によるインスタレーション展が東京・原宿ラフォーレで行われている。（4/3まで）

（展示会のチラシ・部分）

会場に入ると、壁に大型液晶モニターがいくつもあり、その中に、抽象画（静止画）が映し出されている。いくつかの絵を見ていると、なるほど、薄型ディスプレーという額縁に映し出す電子的な絵なのか、と思う。すると、実は、これら絵は、極めてゆっくりと別の絵になっていくことに気がつく。会場にはイーノのアンビエントな音。
２つのコーナーを過ぎると、今度は、壁に投射されている電子絵。その後ろには、イーノの意図が書かれている。

"TV is the movment of light
Think of TV as light entertaiment"
(Brain Eno)

私たちの周りのテレビやパソコン、あるいはケータイなど、さまざまなスクリーンは、情報が映し出され、物語が語られるのが前提となっている。そんな中で、純粋に光に注目してみる。そう、いうまでもなく、これは、アンビエントな電子絵なのである。

時間とともに表示される絵が変わるのは、まるでスクリーンセーバー(Screen Saver）のようだ。そもそも、スクリーンセーバーは、CRTに画像が焼きついてしまうのを防ぐためのものであったが、やがて、スクリーンが液晶に変わってしまうと、もはや焼きつきを防止する必要がなくなった。

イーノの作品は、そんな液晶ディスプレイ時代の、アートであり、情報の消費に疲れてしまった私たちのソウルをセーブしてくれる、Soul Saverといってもいいのかもしれない。

"77 MILLION" an Audio Visual　Installation by BRIAN ENO

台湾のインタラクティブアート

ひょんなことから台北で行われている「Play Ground」というインタラクティブ・アートの個展（？）を見た。

スクリーンとインタラクトできるもの（「霊魂衣帽間」）、実際の本をめくると投射される絵が変わるもの（「宣言」）など参加できる作品など７つが展示されている。

特にオモシロかったのが、縦型PDPに映っている絵にある電話番号に電話をするとスクリーンの中の人物が
動き出して擬似的に電話に出て、音楽が聞きたい人は、２番を押して！　みたいなメッセージが出るもの。（「互動燈箱」）

携帯電話を一種のリモコンにするものだが、自分の携帯で参加できるという点がいい。

実施しているのは、「天工開物集団」というところ。今回の展示のスポンサーにはPanasonicの名前も。
９月１２日まで誠品敦南店B2の芸文空間にて開催中。

「Play Ground」のサイト