暑い夏には、もってこいの議論なのかもしれない。
アメリカでは、ペットボトルに入った水についての議論が熱を帯びているという。
ペットボトル入りの水は、20世紀末から21世紀(=現代)の日常生活を象徴するアイテムだが、地球に優しいかどうかは別の問題だ。そのことは、みんな知っている(はず)。
まず、ペットボトル入りの水ではなく、水道水の利用を勧めるいくつかの動きがあった。
一つ目は、サンフランシスコ市長が、市の予算で、ペットボトル入りの水を購入することを禁じた。いくつかの市がそれに追随しようとしている、という。
二つ目は、業界監視団体の要請により、Pepsi社が製造するAquafinaブランドのペットボトル入り水のラベルに、Public Water Source、つまり、水道水と同じであることを明記することになった。Aquafinaは、現在全米でペットボトル入り水の最大ブランド、使用している水は、デトロイトの公営の上水道を浄水したものである、という。
(水道水と同じことを表示することになったAquafina)
こうした動きに対して、「国際ボトル入り水協会」(IBWA)は、8月3日(現地時間)New York TimesとSan Francisco Cronicleの両紙に全面広告を出し、水道水であろうと、ペットボトル入り水であろうと、水を飲むのは、ほかの飲料水を飲むよりは健康にいい、とし、ペットボトルは軽量でリサイクルできるものを使っている、という趣旨を訴えたという。
こうした議論の前に発行されたFast Company誌7/8月号のミネラルウォータ事情に関する記事はペットボトル入り水の現状を記述していて面白い。
記事によると、アメリカ人は、去年1年間でiPodあるいは劇場での映画鑑賞のチケット代よりも多くの金額を
ボトル入りウォーターに使ったという。その金額、150億ドル!
・Fijiブランドの水の源泉のフィージーでは、半分の人々は安全な水を利用できていない。
・Beverly HillsのPeninsula hotelでは、現在Fijiが一番人気だが、その前はevianであり、diet cokeだった。
・Poland Springを求めるホテル客に対しては、ニューヨークの同系列ホテルからPoland SpringのケースをFedexしてもらうという。
(Poland Springはカリフォルニア州では入手できない)
・1976年には、平均的なアメリカ人は、年間1.6ガロンのボトルウォーターを消費していたが、去年は、28.3ガロンを消費。これは、一人当たり毎月500ミリリットルのボトル18本を消費しているのに相当する。アメリカ人は、牛乳、コーヒー、ビールよりもボトルウォーターを飲む。
(しかし、ボトルウォーターより炭酸飲料水の消費量の方が依然として多い)
・全ボトルウォーターの市場規模は、炭酸飲料水の規模の約半分だが、広告費は、炭酸飲料水の広告費の15%にすぎない。
ちなみに、パリス・ヒルトン嬢が飲むのは、1本40ドルするBlingというビン入りの水らしい。(一説には犬に与えているとも)
しかし、環境問題の不思議として、ほかにもいろいろ環境に優しくないことはいくらでもあるのに、なぜペットボトル入り水がターゲットになったのだろうか。(たとえば、車に乗らない日を作るとかするほうがよっぽど効果があるように思えるが…)
Environment: Bottled-Water Industry Fights Back - Newsweek
Bottled out: Americans rethink their wasteful approach to water - Independent Online Edition
Aquafina labels to spell out source - tap water - Yahoo! News
IBWA Press Release - IBWA Launches Major Media Advertising Campaign
It’s Healthy To Think About Water (IBWAの全面広告/pdf)
Message in a Bottle - Bottled Water - Luxury Water - Mineral Water - FastCompany.com