破竹の勢いのビデオ共有サイトYouTubeは、ワーナーミュージックと提携し、ワーナーの音楽ビデオカタログをYouTubeユーザーが使えるようにしたと18日(現地時間)発表した。
この提携により、YouTubeで、ワーナーの音楽ビデオ数千本が視聴できるようになるだけでなく、ワーナーのビデオの一部を取り込んでユーザーが自作のビデオを作成し、それをYouTubeにアップロードすることも可能だという。YouTubeとワーナーは、広告収入を折半する。提供されるビデオは、音楽ビデオのほかに、アーティストのインタビュー、メイキングビデオなどが含まれる。
YouTubeは、ユーザーが制作したビデオの中に著作物が含まれていないかトレースする技術を開発しているといい、この技術を使って、ロイヤリティ料を支払う基準にすることが可能だという。また、ワーナーはユーザーが制作したビデオの公開を拒否する権限も保有することになるという。
ワーナーのビデオは、YouTubeの技術が利用可能になる2006年年内と同時に公開されるという。
Warner Music Groupの会長兼CEOのEdgar Bronfman, Jr.氏はプレスリリースの中で、以下のように発言している。
「テクノロジーはエンターテイメント業界を変えており、ワーナーミュージックは、そのような革新を受け入れていく。YouTube(のようなCGMサイト)は、ファンとの間に双方向の会話を可能にさせ、このことにより、エンターテイメント業界やメディアは、永遠に姿を変えてしまうだろう」。
Warner Music Groupの会長兼CEOのEdgar Bronfman, Jr.氏
"Technology is changing entertainment, and Warner Music is embracing that innovation. Consumer-empowering destinations like YouTube have created a two-way dialogue that will transform entertainment and media forever."
Edgar Bronfman, Jr., Chairman and CEO of Warner Music Group
もはや、YouTubeを止めることができないということか。仮にYouTubeを止めることができたとしても、きっと第二、第三のYouTubeが出現するに違いない。それなら、この現象をどうやったら、自分たちのビジネスに結びつけることができるのか、見極めよう…。そんな声が聞こえてきそうな、コメントだ。
YouTubeのいう、著作物トレース技術というのがどれくらいのもので役に立つものか、正直わからないが、もしYouTubeがいうような機能が果たせるなら、今後ワーナー以外にも、YouTubeでのカタログ公開を検討するメディア企業が登場するかもしれない。
一方で、今回の発表に先立って、ユニバーサルミュージックのCEOは、YouTubeやMySpaceは明らかに著作権侵害をしていると公の席で発言したばかり。技術もそうだが、それ以上に、保守的なメディア企業が、安心して、カタログを提供できるプラットフォームに今後成長できるかがカギだろう。
もちろん、そのときに、移り気なユーザーがそこにいるとは限らないが…。
プレスリリース:Warner Music Group and YouTube Announce Landmark Video Distribution and Revenue Partnership
http://www.wmg.com/news/story.jsp?article=31420052
http://www.youtube.com/press_room_entry?entry=vCfgHo5_Fb4
Yahoo! News - Warner distribute videos through YouTube (AP)
MSNBC.com - Warner opens video library to YouTube (FT.com)
SFGate.com - Universal Music chief blasts YouTube, MySpace over copyrights