Flickrの共同創業者Caterina Fake女史が、今年2月にadaptive pathのMX San Francisco で行ったトークが、面白い。
Flickrは、もはや説明不要の写真共有サイトであるが、開発会社のLudicorpは、Flickrの前は、MMORPGゲーム"Game Neverending"を開発していた。(その後、2005年にYahoo!に買収されたことはご存知の通り)
Caterina Fake女史は、この頃の話から始めて、なぜ、写真共有サイトを始めることになったのか、どのように機能を追加していったか、どのように自分たちのゴールを決めていったか、などを語っている。
面白いのは、Flickrを始めるに当たって、市場調査をしなかったという点。開発時には、写真サイトというのはあったが、
友人だけが閲覧できたり、最後はプリントアウトさせることを目的としているサイトしかなかった、という。
対して、Flickrのコンセプトは、「写真を公開して共有する」であって、ある意味「デジタルネイティブ」な考え方に基づいており、
そのために、「アルバム」という比喩はなく、photo setでありphoto streamという用語を最初から使っている、という。
現在では、80%のFlickr写真が公開され共有されている。
Flickrは、さまざまな機能があるが、あくまで中心は写真である。写真を見る体験を邪魔しないように、注意深く機能が配置されている。
また、Flickrのaboutページは、Flickrのゴールを端的に示していて、それは、
- We want to help people make their photos available to the people who matter to them.
- We want to enable new ways of organizing photos.
である。
この表現に至るまでに、「なぜ私たちはこれを開発しているだろうか?」と自問をし、いくつものの理由を書き出した中から、共通したことを集約したのだという。こうしたゴールを掲げていることで、その後も、道を外れることなく本当のゴールを目指すことができているという。
そのほかのエピソードとして、ユーザーの意見を聞いて開発を進め、中にはリリースから二、三時間でデザインを戻したこともあるという。ただ、ユーザーの声を聞きすぎることは、サービスを破綻させることにもなりかねないと指摘し、開発を予定している機能をいくつかフォーラムで披露し、ユーザーにどれを優先すべきか、を尋ねる、といったアプローチが成功している、とした。
Web2.0の雄として取り上げられることの多いFlickrも、Yahoo!に買収されてからは、大企業Yahoo!の中で、どうスタートアップの美点を生かすかが問われており、Yahoo! Hack Dayという社内イベントを四半期の一度実施し、社員が24時間でビルドして、デモをすることを進めているという。
Caterina Fake女史の話は、大変参考になることが多い。1時間程度のトーク、連休中に聞いてみては?
ちなみに連休中といえば、5月5日に撮られた写真を集めるイベント"24 hours of Flickr"が行われる。
5月5日という一日に世界で何が起こったのか。人々は、何に笑い、何に感動し、何に涙したのか。つまり、どのような人生の一日を過ごしたのか。写真を通して、見つめなおしてみようというものである。
一昔前にあった、"A Day in the Life"というプロの写真家による企画を彷彿とさせるものだが、今回のものは、舞台がFlickrなので、よりパーソナルなものになりそう。
2007年5月5日に撮られたものに限って、"24 hours of Flickr"グループに投稿できる。投稿されたものから、写真集に掲載されたり、Flickrのイベントで紹介されるという。こちらも楽しみだ。
About Flickr
IT Conversations: Caterina Fake
Chad Dickerson - Yahoo! Hack Day tomorrow, and some of my inspirations
Flickr: 24 hours of Flickr