YouTube共同創業者のChad Hurley氏が10日(現地時間)、アメリカ連邦議会下院のエネルギー・商業委員会の通信・インターネット小委員会での公聴会に出席し、「動画の未来」について証言、"ワシントンデビュー"を果たした。
下院小委員会は、YouTubeのHurley氏のほか、HD NetのMark Cuban氏、Sling Media幹部、Disney/ABC幹部、MediaFlo幹部など錚々たるメンバーが証人として出席した。
下院小委員会は、議長を務めるマーキー議員の開会の辞からはじまった。
その中で、「いまや誰もがビデオ発信できる」と指摘、議長はビデオカメラを取り出すと、議長の目線での公聴会出席者を撮影し、カメラに向かって手を振ることを求める"異例"の展開となった。議長は、撮影したビデオは、後にYouTubeにアップロードすると発言し、実際、この動画はYouTubeで視聴できる。議長いわく、これは、議長の視点から公聴会を撮影した史上初のYouTube動画、だという。(苦笑)
(公聴会の出席者にカメラを向けるマーキー議長)
(マーキー議長が撮影した動画の一場面)
マーキー議長は、YoUTubeのHurley氏をインターネットの歴史に残る人物だと最大級に賞賛する紹介を行っている。
YouTubeのHurley氏は、YouTubeのゴールは、「コミュニティの促進」、「民主主義の進化」、「経済成長の創出」の3つだとした。また、YouTubeは、テレビとは違う体験を提供しており、誰でも見られる短いクリップに美点があると強調、高画質なものは、テレビで見てくれればいい、と発言した。
著作権については、遵守すると言明したが、議員から、この瞬間にも違法動画をいくつも見つけられるが、なぜ取り下げないのか、という厳しい口調の質問には、DMCA法(デジタルミレニアム著作権法)に基づき、著作権者からの申し立てがあれば速やかに非合法動画の撤去を行っているとした。
(公聴会デビューを飾ったYouTube CEOのChad Hurley氏 C-SPANから)
これに対し、同じ公聴会に出席のHD NetのMark Cuban氏からは、「DMCA法に守られているという立場には同意できない。著作権者は24時間監視することを強いられており、(自分が製作に関わった)低予算映画に至っては、映画の売り上げ以上の費用をを監視に費やしている、(YouTubeは)DMCA法を誤って適応している」と厳しく批判した。
3時間近く開かれた公聴会では、そのほかに、子供番組内でのプロダクト・プレイスメントの是非やネット中立性などについても議論された。
マーキー議長は、公聴会とは別に、YouTubeのHurley氏に単独インタビューを行い、こちらもYouTubeで公開されている。
この中ですべての大統領候補がYouTubeに動画をアップし、ユーザーにリーチしようとしていることについてどう思うか、など興味深い会話がなされている。その中で、議長は、各選挙陣営ではYouTube対策のための人材が雇用されており、YouTubeは、新たな雇用をも創出していると持ち上げた。
(余談だが、パルパティーン議長と若いジェダイが会話しているように見えるのは私だけだろうか?)
(Chad Hurley氏とEdward Markey議長)
YouTubeのシンデレラボーイがワシントンに行って公聴会で証言するのを見ていて、超現実的ともいうべき不思議な感覚を覚えた。おそらく、体験したChad本人も、そう感じたのではないか。
ベンチャーであり、ニッチであることの美点と、そこに留まりたくてもできない、何か大きなうねりのようなもの。
いまのYouTubeが置かれるのは、まさにそういう地点なのだということを強く確信した。
YouTube - Rep. Markey Films from the Chair's Seat
YouTube - YouTube CEO Chad Hurley & Rep Ed Markey Discuss Web Video
C-SPAN.org
C-SPAN.org: Telecommunications & Internet Subcmte Hearings Pt.1 (Real Video)
C-SPAN.org: Telecommunications & Internet Subcmte Hearings Pt.2 (Real Video)
C-SPAN.org: Telecommunications & Internet Subcmte Hearings Pt.3 (Real Video)
Markey First House Chairman to Post YouTube Video - The Sleuth
Congress gets earful on net neutrality, CableCARD, YouTube from video execs - arstechnica.com
YouTube創業者のハーレー氏、初の下院公聴会で自社の著作権保護対策を擁護 - CNET Japan