B3 Annex

"lonelygirl15"最終回が示すユーザー動画第一世代の終焉

"lonelygirl15"ってまだやっていたの？　というのが大方の感覚かもしれない。

"lonelygirl15"とは、2006年6月に15歳の女の子のビデオ日記という触れ込みで始まり、その後、バックに演出家
などがいることが判明しながらも、熱狂的な人気を博した動画シリーズである。

（開始当初のころの"lonelygirl 15）

その"lonelygirl 15"シリーズが最終回を迎えるという。最終回は8月1日（現地時間）に12回にわけてが1時間ごとに公開される。（執筆時には最終回の第9パートまでが公開されている）

"lonelygirl 15"が登場してから2年。この間に、ネット動画の地平は大きく変化した。

メディア企業も、重い腰をあげて動画展開をスタートし、米ＴＶネットワークは、Full Episode Playerなどで番組動画を提供している。一方の"lonelygirl 15"の製作チーム"EQAL"はCBSと提携し、テレビ番組とネット番組を制作するという。
もはや、そこにあるのは、ある種の「成熟」とさえいえる。

ブログ"NewTeeVee"が指摘するように、第一世代には、それが成功するなどとは思わずに、ある種の純粋さと熱狂で、新しいメディアの創造に取り組んでいた。しかし、成功すると、次の世代は、成功を最初から目指すことになる。そこは、純粋さや熱狂ではなく、ビジネスとマネーがモチベーションとなる。当然だ。

それでも、あえて、"lonelygirl15"を超える動画シリーズの登場に大いに期待したい。
そして、純粋さと熱狂とビジネスとマネーをエンジンに、さらなる新しいメディア作りに取り組んでほしいと思う。

YouTube - lonelygirl15

CBS and EQAL Team Up for First-of-Its-Kind Partnership to Create Integrated TV and Online Shows

Why There Won’t Be Another lonelygirl « NewTeeVee

B3 Annex: LonelyGirl15、第1シーズン最終話　MySpaceが独占提供 (2007年8月3日）

イギリス王室、YouTubeにRoyal Channelを開設

メディア企業はもちろん、世界中のさまざまな組織や団体がYouTubeにオフィシャルチャンネルを開設していて、もはやそれ自体は驚かなくなったが、さすがにイギリス王室による今回の動きには触れておきたい。

イギリス王室が、クリスマスを目前にした12月23日（現地時間）に、"The Royal Channel"を開設、イギリス王室関連の動画18本をYouTube動画として公開した。

（YouTubeに新設の"The Royal Channel")

フィーチャ動画は、50年前に行われた女王エリザベス2世による初めてのクリスマススピーチのテレビ放送になっている。

その中で女王は、

"I very much hope that this new medium will make my Christmas message more personal and direct."

（この新しいメディアによって、私のクリスマスメッセージがより親密に、より皆さんに直接届くようになることを願ってやみません。）

とテレビ放送への期待を述べている。まさに、イギリス王室がその時々のメディアを積極的に取り入れ、イギリス国民のみならず世界の人々にメッセージを伝えることに力を注いでいたことがわかる。

こうした伝統は、50年後の今も変わらずにある、ということがYouTube公式チャンネル開設で再確認できた格好だ。

（50年前のクリスマスメッセージのテレビ初放送　The Royal Channelより）

女王による今年のクリスマスメッセージは、12月25日午後3時（現地時間）にテレビ放送されるのとほぼ同じ時刻にYouTubeで公開されるという。

ところで、Observer紙によれば、女王は2年前まではパソコンに触ったことがなかったが、いまでは、自分でメールを書くに至ったという。

また、YouTubeチャンネルの開設については、さまざまな人々が説明したが、特に孫にあたるベアトリス王女（19歳）とユージェニー王女（17歳）の勧めがあり、YouTubeの内容を見て検討をし、最終的にゴーサインを出したという。

その後、6か月の制作期間の間、女王自ら素材を含めて動画をチェックしたという。

一説には、イギリス王室とホワイトハウスによるどちらが最初にYouTubeに公式チャンネルを開設するか、という競争があったという。

それにしても、これはYouTube/Googleチームの大勝利であり、これだけ短期間でイギリス王室までをパートナーにしたベンチャー企業も珍しい。

Congratulations!

The Royal Channel - YouTube

ANNOUNCEMENT OF THE LAUNCH OF A ROYAL YOUTUBE CHANNEL - Buckingham Palace press releases

How the Queen became very well connected - The Observer

BBC NEWS - Queen launches YouTube channel

YouTube、オーバーレイ広告を開始

YouTubeがようやくマネタイズに動き出した。

昨年10月のYouTubeの買収以来、1番人気の動画共有サイトという地位は不動にしたものの、それをどのようなビジネスにしようとしているか、については、多くの人が首を捻らざるえない状態が続いていたが、それも過去のこととなるのだろうか。

YouTubeは、パートナー企業が提供するビデオに、オーバーレイで広告を挿入することを開始した。

オーバーレイ広告は、動画が開始してから15秒ほどで画面下部にオーバーレイする形で表示され、ユーザーがクリックしなければ、10秒後には、画面上の小さなアイコンへと縮小するという。

（YouTubeのオーバーレイ広告の例）

オーバーレイによる広告のクリックスルー率は、動画クリップの冒頭に挿入されるタイプの広告に比べて、5倍から10倍だといわれ、これまで、密かに実験を続けていたという。

オーバーレイ広告へ出稿する広告主は、1000回視聴に対して20ドルを支払う。広告収入は、パートナー企業とシェアするというが、どういう比率でシェアするのかは不明。

なお、一般投稿の動画については、著作権問題について明確でない場合があるため、当面は行わない予定という。

（いくつかのサンプルが有名ブログで取り上げられているが、地域IPを参照しているためか、日本からは、オーバーレイ広告は見られないようだ。）

ところで、このオーバーレイ広告について、最初に発明したのはウチだ、としてVideoEgg社が異議申し立てをしている。

VideoEggのサイトには、IBMがパーソナルコンピュータ市場に参入した際のAppleの全面新聞広告をもじって、"Welcome, YouTube.Seriously"という文字が掲げられている。

(VideoEggのサイトには、"Welcome, YouTube. Seriously"の文字が･･･）

正直、Apple/IBMの時ほど劇的なことではないし、そもそも、オーバーレイ広告って、テレビでは普通に登場しており、VideoEggの反応には苦笑せざるをえない。

ただ、これでオンラインビデオ市場が大きく離陸する可能性が高まったことだけは確かだ。

（VideoEggのオーバーレイ広告の例）

Google Aims to Make YouTube Profitable With Ads - New York Times

VideoEgg Exec: YouTube's New Ads Are Just Like Ours - Epicenter - Wired Blogs

YouTube’s New InVideo Ad Format Is Not Google AdWords - Publishing 2.0

各国の"YouTube"ライクなサイトで世界旅行（？）

というわけで、世の中は夏休みである。
しかし、ヒートアイランド化する街へと、快適な部屋から出たくないのも人情。（苦笑）

雑誌"Business 2.0"では、各国のYouTube、digg.com、Facebook、Linkedinの「クローン」の一覧を掲載しているが、このリサーチが甘いと、ネットでは話題になっている。

フランスのdailymotionは、YouTubeよりも早くサービスを開始しているので、YouTubeのクローンとは言えないとか、インドの項目はどれも不正確だとか…。

ここでは、単純に各国のYouTubeライクなサービスを見てみたい。

（リストは雑誌"Business 2.0"より。一言コメントはサイトの情報などを元にB3 Annexが加筆。）

• ブラジル    Videolog     videolog.uol.com.br
  • Videologは、Universo Onlineのサービス。UOLのポータルはポルトガル語圏で最大。
• 中国        56.com        56.com
  • 中国語では「我乐网」。Alexaによると世界ランキング96位。中国には100を超えるYouTubeクローンがある。
• フランス    Dailymotion    dailymotion.com
  • YouTubeよりも１か月早くサービスインした動画共有サイト。日本語化もされている。
• ドイツ    MyVideo        myvideo.de
  • ドイツ版「アメリカン・アイドル」ともいうべき"Popstars on stage"のコーナーも。
• インド    Rajshri        rajshri.com
  • 動画はあるがWindowsMedia。Rajshriはインドのナンバー1ポータルだとか。共有サイトなのか？
• イスラエル    Flix        flix.co.il
  • イスラエルのナンバー１動画サイトだという。
• メキシコ    BuscaTube    buscatube.com
  • 動画共有サイトというより、動画メタ検索サイト。日本語版も。
• オランダ    Skoeps        skoeps.nl
  • 動画サイトではあるが、YouTubeには程遠い。
• ロシア    Rutube        rutube.ru
  • もっともクローン度が高いかも。2006年11月スタート。500万ドルでロシア最大のメディア企業に売却との噂も。
• 南アフリカ    MyVideo        myvideo.co.za
  • 南アフリカ最初の動画共有サイトという触れ込み。一般からニュース現場動画も募集。
• トルコ    Resim ve Video    resimvideo.org
  • ただの動画まとめサイトに見えるが…。             

（ブラジル版"YouTube"のVideolog)

（中国版"YouTube"の56.com　他にもクローン多数）

（ロシア版"YouTube"のRuTube)

こうしてまとめてみると１１か国を見ると各国ともお国柄が出ているような気もする。ただ、基本コンセプトはYouTubeそのものだ。YouTube現象というのは、アメリカや日本だけではなく、世界的な潮流だということがわかる。

その中でも、特にブラジル、中国、ロシアあたりが面白い。まさにBRICsの面目躍如だ。

涼しい部屋で、YouTubeライクなサイト巡りで、「世界一周」してみるのは、いかが？

Who Is Cloning Who? Business2.0, try again - TechCrunch

Business 2.0 magazine

B3 Annex:中国のYouTube的ネット最新事情（2007年1月7日）

NBCU/News Coprの動画ベンチャー、1億ドルの投資を受ける

B3 Annexでも何度か伝えてきたNBC UniversalとNews Corpによる動画サイト（通称NewSite)だが、NY Timesの報道によると、メディア投資会社Providence Equity Partnersから1億ドルの投資を受けることになったという。

これにより、Providence Equity Partnersは新会社の株式の10％を得ることになる。

YouTubeに対抗する目的の、このジョイントベンチャーだが、名称もいまだに決まっておらず、当然サービスも始まっていない。

にもかかわらず1億ドルもの金額が集まったことに業界も少し驚いている様子だ。今回の投資を元に計算すると、このジョイントベンチャーの価値は、10億ドルにも達することになる。

"NewSite"(あるいはNewTube)は、秋にはサービスインするとしており、CEOには元アマゾンの幹部Jason Kilar氏が就任、すでに120人近くのスタッフがロサンジェルスで勤務しているという。

しかし、サイトが予定通り立ち上がって、両社の動画が揃ったとして、ユーザーが集まるかどうかは別の話なのは改めて言うまでもないだろう。

Equity Firm Invests in NBC Universal-News Corp. Online Venture - New York Times

B3 Annex: NBCUとNews Corpの共同動画サイトは9月に　英でも共同サイト構想（2007年6月16日）

B3 Annex: YouTube包囲網？　NBCユニバーサルとNewsコープ、独自の動画サイト立ち上げ発表（2007年3月23日）

LonelyGirl15、第1シーズン最終話 MySpaceが独占提供

LonelyGirl15は、1年ほど前の2006年6月にYouTubeに登場した、16歳だとするティーンエージャー「ブリー」のビデオブログだが、その後、演出家がバックにいるフィクションのビデオブログだと判明してからも、それなりの人気があり、その後は、Wired誌の表紙になったりもしていた。

さて、そのLonelyGirl15の第1シーズンの最終話が、MySpaceTV.comに独占的に登場し、しかも、12のセグメントに分かれた「第1シーズン最終話」が1時間ごとにアップロードされるという。

草の根的にスタートしたビデオブログが、今や、あるプラットフォームから別のプラットフォームへと移籍する時代となった。まるでテレビシリーズのようだ。（あるいは、そう振舞いたいだけなのかもしれない。）

YouTubeには、「第1シーズン」のこれまでのまとめビデオが掲載されている。正直、こんなに話が展開しているなんて知らなかった。

それにしても、LonelyGirl15は、ひと昔の話に思えるが、たった1年前に始まったとは…。

LonelyGirl15第1シーズン最終話は8月3日（現地時間）から掲載される。

ひと昔といえば、RocketBoomの名前も最近は聞かなくなったが、RocketBoomライクなビデオブログが登場、話題になっている。

WebbAlertという名前のこのビデオブログは、テックとゲームがテーマ、Morgan Webbさんという女性が原稿を書き、プロデュースもしているという。

第1回を見たが、確かに、ブログ界の話題をコンパクトにまとめていて、興味深い。

ちなみに、第1回のテーマは、マードックによるWall Street Journal紙の親会社買収、iTunes30億曲販売達成、SNSサイトの最新会員数など。

 

プレスリリース:LonelyGirl15 Finds Friends on MySpace -- Season One Finale ‘12 In 12’ Kicks off Exclusive Content Partnership with MySpaceTV

NewTeeVee  - MySpace Nabs Lonelygirl15 Finale

YouTube - lonelygirl15

lonelygirl15 Season 1 Recap

WebbAlert

WebbAlert: A Lot Like Rocketboom, Except It's Interesting - TechCrunch.com

CNN/YouTubeによる民主党大統領候補 討論会 開催

民主党のアメリカ大統領候補8人による公開討論会が、サウスカロライナで23日（現地時間）午後7時（東部時間）から開催される。

2時間にわたるこの公開討論会の特筆すべきところは、YouTubeにアップロードされた人々からの質問を直接候補にぶつける点である。今回の討論会のための質問が、2000件以上、YouTubeに集まったという。

一般の市民がカメラに向かって、質問を収録している。

質問は、たとえば、「あなたと大統領選を戦うべき共和党の候補は誰ですか？　その理由は？」「飲酒可能な
年齢を現行の21歳から18歳に下げますか？」などなど。

さまざまな人種や年齢からさまざまな質問が集まったという。また、想定していたよりも、イラク関連の質問は少なかったという。

寄せられた2000件以上のビデオ質問から、実際に、討論会で使われるかどうかを選ぶのは、CNN。一部にはなぜ、CNNがフィルタリングするのだという声もあるようだ。

それにしても、ユーザー・ゼネレイテッド・ビデオが直接、候補者への質問となる、というのは、前回（2004年）の大統領選では考えられなかったことであり、画期的な試みである。

今後、こうした手法が、政治そして選挙のあり方についての新しい基準となるかのか。

ちなみに、9月には同様の手法で共和党の大統領候補者9人による公開討論会が開催されるという。

Debates to Connect Candidates and Voters Online - New York Times

Mending Political Debate -CNN YouTube

Underage Drinking - CNN YouTube

The CNN YouTube Debates

CNN/YouTube debate questions: Which ones will make the cut? - CNN.com 

NBCUとNews Corpの共同動画サイトは9月に 英でも共同サイト構想

YouTubeキラー？は9月立ち上げ

旧来メディアによるYouTube対抗策として注目される、NBC Universal (NBCU)とNews Corp.による共同動画サイトは、
当初予定の「夏」立ち上げから、9月立ち上げに変更になった。

いまだ名称が決まっていないこの共同動画サイト（今回初めて便宜上"NewSite"と呼ばれていた）は、3月に構想が発表されたが、14日（現地時間）のNBCUによるアナリスト向け説明会で、立ち上げが9月になったとした。

"NewSite"がそもそも成功するかどうか未知数だが、なんとか秋の新番組シーズンに間に合わせないことには話が始まらない。

メディア企業がいまの時点でネットでのイニシアティブを取ることができるのが現実なのか幻想なのか。CBSなどの多提携展開の方が現実的な対応に思える。

（"NewSiteについてのプレゼンテーション　アナリスト向け説明会より）

イギリスでも共同動画サイト構想

そうした中、イギリスでも、共同動画サイトの構想が持ち上がっている。

"Project Kangeroo"と名づけられたこの構想は、Channel 4とITVとBBCでブロードバンド動画サイトを共同で立ち上げ、それぞれの番組を共同サイトで見られるようにするというものとしてGuardian紙が伝えている。

Channel 4はすでに昨年12月からブロードバンド展開による番組キャッチアップサービスを開始しており、ITVも今週からブロードバンド展開のプレビューを行っている。BBCは4年前からiPlayerの構想を打ち出しているが、いまだサービスインには至っておらず、今年後半にずれ込んでいる。

3社の思いとしては、それぞれのサイトにユーザーを呼び込むよりは、共同で動画サイトを立ち上げた方がユーザーを呼び込みやすいというのがあるようだ。

イギリスでの共同動画サイト構想は、地上デジタル放送の共同運営会社Freeviewの成功にヒントを得ているという。
イギリスでは、ネット接続型のFreeviewセットトップボックス（デジタルテレビチューナー）が出荷されており、こうした動きが共同サイトを後押しするかもしれないとしている。

メディア企業は早く現実に目を向けるべき

しかし、テレビと違って、ネットでは合議で何かを決めて打ち出しているということよりは、さまざまなサービスの中からユーザーが最終的に、デファクトを決めていくというのが根づいており、そう簡単にうまくいくとは思えない。

共同動画サイトを立ち上げるよりも、メディア企業は、自分たちがもはや決定権を持ちえていないという現実に一刻も早く気がつき（あるいは現実から目をそむけるのをやめて、というべきか）、新しい地平でのメディア企業のあり方に進みだした方がいい。

下手な抵抗はやめて、ネット的現実を受け入れる時はもう来ている。

NBC sees Web video joint venture launch in Sept. - Yahoo! News

NBC Universal Security Analyst Meeting Presentation (PDF)

Broadcasters in web TV talks - MediaGuardian.co.uk

Freeview - Welcome to free TV land

Freeview - Wikipedia, the free encyclopedia

B3 Annex: YouTube包囲網？　NBCユニバーサルとNewsコープ、独自の動画サイト立ち上げ発表（2007年3月23日）

B3 Annex: ＜CBSの教訓＞　ユーザーは自社サイトにはやって来ない（2007年5月15日）

B3 Annex: 英民放ITV、6月12日からブロードバンド展開　ようやく開始（2007年6月11日）

YouTube共同創業者、ワシントンでの公聴会デビュー

YouTube共同創業者のChad Hurley氏が10日（現地時間）、アメリカ連邦議会下院のエネルギー・商業委員会の通信・インターネット小委員会での公聴会に出席し、「動画の未来」について証言、"ワシントンデビュー"を果たした。

下院小委員会は、YouTubeのHurley氏のほか、HD NetのMark Cuban氏、Sling Media幹部、Disney/ABC幹部、MediaFlo幹部など錚々たるメンバーが証人として出席した。

下院小委員会は、議長を務めるマーキー議員の開会の辞からはじまった。

その中で、「いまや誰もがビデオ発信できる」と指摘、議長はビデオカメラを取り出すと、議長の目線での公聴会出席者を撮影し、カメラに向かって手を振ることを求める"異例"の展開となった。議長は、撮影したビデオは、後にYouTubeにアップロードすると発言し、実際、この動画はYouTubeで視聴できる。議長いわく、これは、議長の視点から公聴会を撮影した史上初のYouTube動画、だという。（苦笑）

（公聴会の出席者にカメラを向けるマーキー議長）

（マーキー議長が撮影した動画の一場面）

マーキー議長は、YoUTubeのHurley氏をインターネットの歴史に残る人物だと最大級に賞賛する紹介を行っている。

YouTubeのHurley氏は、YouTubeのゴールは、「コミュニティの促進」、「民主主義の進化」、「経済成長の創出」の3つだとした。また、YouTubeは、テレビとは違う体験を提供しており、誰でも見られる短いクリップに美点があると強調、高画質なものは、テレビで見てくれればいい、と発言した。

著作権については、遵守すると言明したが、議員から、この瞬間にも違法動画をいくつも見つけられるが、なぜ取り下げないのか、という厳しい口調の質問には、DMCA法（デジタルミレニアム著作権法）に基づき、著作権者からの申し立てがあれば速やかに非合法動画の撤去を行っているとした。

（公聴会デビューを飾ったYouTube CEOのChad Hurley氏　C-SPANから）

これに対し、同じ公聴会に出席のHD NetのMark Cuban氏からは、「DMCA法に守られているという立場には同意できない。著作権者は24時間監視することを強いられており、（自分が製作に関わった）低予算映画に至っては、映画の売り上げ以上の費用をを監視に費やしている、（YouTubeは）DMCA法を誤って適応している」と厳しく批判した。

3時間近く開かれた公聴会では、そのほかに、子供番組内でのプロダクト・プレイスメントの是非やネット中立性などについても議論された。

マーキー議長は、公聴会とは別に、YouTubeのHurley氏に単独インタビューを行い、こちらもYouTubeで公開されている。

この中ですべての大統領候補がYouTubeに動画をアップし、ユーザーにリーチしようとしていることについてどう思うか、など興味深い会話がなされている。その中で、議長は、各選挙陣営ではYouTube対策のための人材が雇用されており、YouTubeは、新たな雇用をも創出していると持ち上げた。

（余談だが、パルパティーン議長と若いジェダイが会話しているように見えるのは私だけだろうか？）

（Chad Hurley氏とEdward Markey議長）

YouTubeのシンデレラボーイがワシントンに行って公聴会で証言するのを見ていて、超現実的ともいうべき不思議な感覚を覚えた。おそらく、体験したChad本人も、そう感じたのではないか。

ベンチャーであり、ニッチであることの美点と、そこに留まりたくてもできない、何か大きなうねりのようなもの。

いまのYouTubeが置かれるのは、まさにそういう地点なのだということを強く確信した。

YouTube - Rep. Markey Films from the Chair's Seat

YouTube - YouTube CEO Chad Hurley & Rep Ed Markey Discuss Web Video

C-SPAN.org

C-SPAN.org: Telecommunications & Internet Subcmte Hearings Pt.1 (Real Video)

C-SPAN.org: Telecommunications & Internet Subcmte Hearings Pt.2 (Real Video)

C-SPAN.org: Telecommunications & Internet Subcmte Hearings Pt.3 (Real Video)

Markey First House Chairman to Post YouTube Video - The Sleuth

Congress gets earful on net neutrality, CableCARD, YouTube from video execs - arstechnica.com

YouTube創業者のハーレー氏、初の下院公聴会で自社の著作権保護対策を擁護 - CNET Japan

YouTube包囲網？ NBCユニバーサルとNewsコープ、独自の動画サイト立ち上げ発表

NBCユニバーサルとNewsコーポレーションは、AOL、MSN、MySpace、Yahoo!と共同で、動画共有サイトを立ち上げると発表した。

 

今夏に立ち上がるとされる共同会社（名称未定）のサイトでは、NBCの人気番組の"Heroes"や"The Office" FOXの人気番組の"Family Guy" や"24" などを、全編、無料（広告ベース）で提供するという。また、配信パートナーとして、AOL、MSN、MySpace、Yahoo!が参加することになっており、これらの4サイトによって全米のネットユーザーの96％にリーチできるとしている。

共同会社は、ユニバーサルと20世紀フォックスの映画も提供するという。また、広告主として、Cisco Systems, Intel,General Motorsの名前が挙がっている。

プレスリリースによる提供番組・映画は以下の通り。

＜テレビ番組＞
Heroes, 24, House, My Name Is Earl, Saturday Night Live, Friday Night Lights, The Riches, 30 Rock, The Simpsons, The Tonight Show, Prison Break, Are You Smarter than a 5th Grader,Top Chef.
そのほか、アーカイブスから過去の人気番組も提供予定。

＜映画＞
Borat, Little Miss Sunshine, Devil Wears Prada, The Bourne Identity and Bourne Supremacy

NBCユニバーサルとNewsコープは、Viacomとともに、独自の動画共有サイト立ち上げを昨年来話し合っていたとされていたが、ViacomがGoogle-YouTubeを提訴するに至り、2社でサイトを立ち上げることになったとLA Timesは伝えている。

この共同会社の設立は、明らかに「YouTube包囲網」と呼べるものだが、関係会社が多く、本当に予定通りにこぎつけられるられるか、疑問が残る。

一方のライバル視されたGoogle側は、この共同会社を「Clown Co.」（ピエロ会社）と呼び、表向きはあまり気に留めていないようでもある。

いずれにせよ、大手メディア会社が、重い腰を上げかかっていることだけは確かなようだ。大いに注目したい。

プレスリリース:NBC Universal and News Corp. Announce Deal with Internet Leaders AOL, MSN, MySpace And Yahoo! to Create a Premium Online Video Site with Unprecedented Reach

プレスリリース:News Corporation : NBC UNIVERSAL AND NEWS CORP. ANNOUNCE DEAL WITH INTERNET LEADERS AOL, MSN, MYSPACE AND YAHOO! TO CREATE A PREMIUM ONLINE VIDEO SITE WITH UNPRECEDENTED REACH

NBC Universal　（執筆時点でこの情報は掲載されていない）

News Corp., NBC pull together to challenge YouTube - Los Angeles Times

NBC and News Corp. Plan Rival to YouTube - New York Times